見潜鵜人作歌一首

見潜鵜人作歌一首

婦負川の 早き瀬ごとに 篝さし 八十伴の男は 鵜川立ちけり

鵜坂川に辿り着いたは夕刻であったが、宿を取るためにはもう少し進まねばならない。川沿いにしばらく下る。周囲は婦負の郡となる。したがって川の名も婦負川となる。日は暮れて周囲は次第に漆黒に包まれて行く。宿に早く・・・と、少々焦っていたのは事実だ。ところがその行く手遠くに篝火の灯りが・・・

近寄ってみると、何と鵜を使って漁をしているではないか。今はまだ二月。鵜を使っての漁にはまだ早い。川面にちらつく仄かな明かりを頼りに見れば、漁をしているのはどうやら海士達ではない。このあたりの官人達のようだ。国守の私が今日この地を訪れることは知っていたであろうから、きっと歓迎の意を込めて、このような興をそそるようなことを行ってくれたのであろう。

宿にたどり着いてからの宴には礼の一言も言わなければならない。この歌はその時に披露しようとも思う。

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