婦負郡渡鵜坂河邊時作一首
鵜坂川 渡る瀬多み この我が馬の 足掻きの水に 衣濡れにけり
鵜坂川は平成の御代でいうと、神通川が富山県の婦負郡婦中町あたりをさしていうらしい。このあたりは川幅が300m程もあり、川が幾筋にも別れている。馬に乗りながらではあったが、渡るには大分苦労した。なんといっても大和にはこのように大きな川はない。どのようにして渡るか、あれこれと土地のものに教わりながらなんとか川を渡りきったものの、乗っていた馬の歩みがもたらすところの飛沫に私の衣はすっかりと濡れてしまった。
こうやって旅先にあるがゆえ、この衣を乾かしてくれる妻もいない。なんともまあ辛いことではあるが、これも公の任務。怠ることはできぬ。それにしても、雪消の頃とはいえ、この越中の国はなんとまあ水の豊かな国であることか。明日また幾つの川を渡ることやら・・・